夏休みの宿題のはなし
昔のユーミンの歌に「台風が行く頃は涼しくなる」という一節があったけど、
本当に台風のあとは空の色が一段薄くなって、ああ夏が終わるんだなと思う。
小学生の頃の私は比較的優秀だったので、夏休みの宿題を溜め込むことはなかった。
夏休み帳などの「手を動かせば終わる」タスクは数日で済ませ、
自由研究や絵などの重めのタスクはそこそこ大人受けするけど手間のかからなそうなテーマを選んで父や兄の協力を得ながらそれなりのクオリティに仕上げる。
休み明けには宿題をきちんと提出して先生に褒められる、いわゆる要領のいい子供だった。いつでもどの領域でも偏差値60くらいはとれるタイプだ。
新学期の教室で、死ぬほど手間のかかる自由研究テーマを選んだ末に最後まで終わらなかった同級生や、遊びに精を出しすぎて半分も宿題が終わらなかった同級生を見て、
どうしてもっとうまくやれないのだろう、と思っていた。
今年から夏休みというものはなくなったが、
人間というのは成長しても根っこの部分は変わらないらしく、私の仕事のやり方は
夏休みの宿題のすすめ方に似ている気がする。
でも、どうしてだろうか
彼らがいま何をしているのかが少し気になる。
終わろうが終わるまいが好きなテーマで黙々と自由研究をしていた彼女や、
宿題が出せなくて先生に怒られてもどこか満足げだった彼が。
彼らはいまどこでどんな人生を送っているのだろう。
宿題が終わっていないのは私なのかもしれない。
なんてことを考えていたら月初から遅刻しそうになった。